
「法定相続情報証明制度」について
【ご葬儀後の手続き】「法定相続情報証明制度」について
ご葬儀後、ご遺族の皆様は、故人様名義の預貯金の解約や不動産の名義変更など、様々な相続手続きを進めることになります。
これらの手続きの多くは、故人様(亡くなられた方)の「出生から死亡までの連続した戸籍謄本」や「相続人全員の戸籍謄本」といった書類の束が必要となり、手続き先(銀行や法務局など)ごとに何度も同じ書類を提出しなければならず、時間も費用もかかってしまいます。
このご負担を軽減するために、平成29年(2017年)から「法定相続情報証明制度」という制度が始まっています。
ここでは、この制度について、よくあるご質問(Q&A)の形でお答えしていきます。
~よくあるQ&A~
Q.「法定相続情報一覧図」とは、どのようなものですか?
A. 故人様(被相続人)と、相続人となる方々の関係を一覧にした「家系図のような図」のことです。 これを戸籍謄本一式と一緒に法務局へ提出すると、登記官(法務局の担当者)が内容を確認し、「この内容で間違いありません」という認証文(お墨付き)を付けた「写し」を交付してくれます。
この「認証文付きの写し」が、公的な証明書として利用できます。
Q. 一番のメリットは何ですか?
A. 戸籍謄本の束の「代わり」になることです。
これまでは、例えば銀行A、銀行B、法務局(不動産)の3ヶ所で手続きする場合、戸籍謄本の束を3セット用意するか、1セットを使い回し(提出→確認→返却→次の窓口へ提出)する必要がありました。
この制度を利用すれば、「一覧図の写し」を必要な枚数(※交付手数料は無料です)あらかじめ発行してもらうことで、複数の手続きを同時に進めることができます。 また、戸籍謄本の束を何度も取得する費用や、窓口での確認時間も大幅に短縮できることが期待できます。
Q. どんな手続きに使えますか?
A. 以下のような相続手続きに利用できるとされています。
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預貯金の解約・払い戻し
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不動産の名義変更(相続登記)
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有価証券(株式など)の名義変更
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相続税の申告
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各種年金の手続き など
※一部の金融機関や手続き先では、独自の書類を求められる場合もありますので、事前に各窓口へご確認いただくと確実です。
Q. デメリットや、注意することはありますか?
A. この制度を利用するために、結局は一度だけ、故人様の「出生から死亡までの連続した戸籍謄本・除籍謄本」等をすべて集める必要がある、という点が一番の手間となります。
法務局は「一覧図」を作成してくれるわけではなく、あくまで私たちが作成した一覧図と、集めた戸籍の内容が合っているかを確認(認証)するだけです。
そのため、 (1) 戸籍謄本一式を(最低1セットは)収集する手間 (2) 収集した戸籍を読み解き、「一覧図」を作成する手間 が発生します。
相続関係が複雑な場合や、手続き先が1〜2ヶ所しかない場合は、かえって手間がかかる可能性もあります。
Q. 自分で手続きするのが難しそうです。
A. ご葬儀後の慌ただしい中で、本籍地が各地に点在する戸籍を集めたり、古い戸籍を読み解いて図を作成したりするのは、非常に大きなご負担だと思います。
ご遺族様に代わって戸籍の収集や「法定相続情報一覧図」の作成・申出(申請)手続きを行えるのは、司法書士や行政書士といった国家資格を持つ専門家に限られています。
※このページを作成するにあたり、ご遺族様がご葬儀後に直面される手続きのご負担を少しでも軽減できれば、という想いで掲載しております。
より詳しいお手続き(ご自身で申出される場合)については、法務局のホームページ等もご参照ください。 (参考:法務局|法定相続情報証明制度について)
執筆:平松 健太
